ご長男は、アルバムを見て、いかにご両親に可愛がられて育ったのか、思い出したのでしょう。長男であれば、家族写真のほとんどに登場していたでしょうし、記憶に残っていることも多かったでしょう。見覚えのあるお父さんの服、写真、そしてそれについてお母さんがそのときの思いを綴った手紙……。今は親となって、子供を育てているご長男がたまらない気持ちになったのは想像できます。「それなのに自分は今、何をしているんだろう」そんな気持ちが、弟たちを説得せずにはいられなかったのでしょう。
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弟さんたちも、おにいさんの説得に応じたのですから、みんな気持ちのやさしいいい子たちだったのです。今ではすっかりわだかまりも溶け、息子さんたちの家に順番に泊まりに行ったりしているそうです。家も気持ちよく処分して、息子さんたちに遺産を分けたとか。「でも、一緒に暮らすのはごめんですけど」そうやって晴れやかに笑う彼女を見て、思い出というのは、過去の一時期を刻んでおくだけのものではない、家族の未来も作るものなんだと、つくづく思いました。今だから正直に言いますが、彼女に思い出のアルバム作りを提案したときは、ここまで考えていたわけではありません。収納に困っているという服の片づけ方の一つとして、提案したにすぎなかったのです。でも、このできごとをきっかけに、私の「思い出」に対する意識もはっきり変わりました。